JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
それから私は、成美の家を訪れた。


日曜はバーが休みとはいえ、家にいるとは限らなかったけど…


「憧子っ!
どしたのっ?急に…」


「…ごめん、忙しかった?」


「んーんっ、全然!
とにかくっ、上がって上がって~」


そう出迎えられて、ほっと胸を撫で下ろす。


成美に、さっきの事を真っ先に報告したかった。

その人は一真と出会う前からずっと、照明の話を聞いてくれてたし…
いつも応援してくれてたから。


だけど本当は、響にも伝えたかったから…
新店舗の近くにある成美の家に、在宅を確かめもせず足が向いてしまったのかもしれない。



「…あの、ねっ?
報告したい事があって…」


「報告っ?
っ、なになにっ?」


「うん…
今の仕事、次の更新が来たら辞めようと思って…

それでね?
照明デザイナー、もう一回目指そうかと思ってるの」


まずは、ここに来るまでに出た結論から告げると…

なぜか目の前の人は固まった。



「……成美?」

今さらそんな事どうでもよくて、返答に困ってるのだろうか…

そう思った矢先。


その人がなんの前触れもなく、ふっと顔を歪めて嗚咽を零した。
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