JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
思い返せば…

いつも私が、辛くて顔を歪めた時に。


ー「あっ、照明デザイナーの垢もあったよ!」

「それよりさっ、聞いてくれるぅ!?」ー


きっと彼女は、気にもしてないんじゃなくて…
辛い気持ちを切り替えようとしてくれたんだ。



ー「成美って、私の事どう思ってるように見えた?」

「大事に思ってるように見えたけど…
ただ、ある意味不器用なのかなって」ー

改めて、響の言う通りだと思った。


彼女は無神経なわけじゃなく、ただ不器用だったのだ。

それも私の心情を考えてくれてたからこそで…



「ううんっ、私こそごめんねっ?
成美の思いに気付きもしないで…

ほんとにごめんっ…」


「憧子は悪くないよっ。
あたしが怒らせるような事しか言えなかっただけでっ…

なのにそれでもっ。
いつも来てくれて嬉しかった…」



そうやって私たちは自分を責めながら、子供みたいに大泣きをして…

そのあと、今までの溝を埋めるように語り合った。




母さんの時同様、こんなふうに気付く日や解り合う日が来たのは…

響のおかげで変われたからで。


きっとそこから、見える世界も変わるのだ。





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