JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
そんな、6月も終わろうとしていたある日。


仕事を終えて車に乗り込むと、ふいに携帯が鳴り出した。

バッグから取り出したそれの、画面を見た瞬間。


心臓が破裂したかと思った。



表示された名前は、吉永響。



その現状に動揺しながらも…
どうしょうもなく嬉しさが込み上げて、喉につかえる。


早く出なきゃ、切れちゃう…

必死にゴクンと、感情を飲み込んで。
緊張を押し退けるように、応答ボタンをタップした。



「っ、どうしたのっ?」


「…っ、久しぶりっ。
もう仕事終わった?」


「うん、今から帰るとこ…」


「…よかった。
今日仕事が休みでさっ…
今、工場の前のコンビニにいるんだけど…

ちょっと会える?」


うそ、会えるのっ?

とっさに、ここからは見えないそのコンビニの方に目を向けた。


「うん、すぐ行くっ」

そう返事をしたものの。


すぐに鏡を取り出して、髪や化粧をチェックし始めたところで…

ハッとする。


この顔に何したって意味がない…

私より若くて、愛されてる同じ顔には敵わないのだから。



弾んでた気持ちは、一気に切ない重みで沈められ…

だけどそれでも。


響に会いたい。
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