JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「っっ、響っ…

愛してる…
ごめんねっ、だけど愛してるっ…」


「っ、謝らなくていいよっ。

俺は1番なんて望んでない…
どうやったって、一真さんには敵わないと思ってる。

本当に素敵な人だし。
その命はきっと、亡くなっても憧子さんの魂に刻まれてて…
そんなすごい存在に、太刀打ちなんか出来ないよっ。

だから憧子さんも、そんなどうにもならない絶対的な事で、俺に気兼ねなんかしなくていいからっ…」


発作的に嗚咽が零れた。


だからって、辛くないはずがない。

だけど、葬られるだけだった一真への愛まで受け止められた気がして…


胸がどうしょうもなく、色んな思いで締め付けられる。



「それに、俺にもちゃんと1番があるから。

憧子さんの1番傍にいる事が出来る。
あなたを1番守る事が出来る。

こうやって、抱きしめる事が出来るっ…」


その腕が、ぐっとぐうっと私を取り込む。



「だから俺、幸せだよ?

憧子さんの心がどれだけ彼にあっても…
傍にいるのは俺だから。

抱き締めてるのは、俺だからっ…」


その手が、愛しくてたまらなそうにこの髪を撫でる。




感極まった私は、狂おしいほどの愛しさにのまれながら…

その胸で、ただただ涙に溺れ続けた。







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