JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「っ、ありがとう。

それでさ?
その店の照明を憧子さんにお願いしたいんだ。

俺の夢を、憧子さんの光で一緒に支えてほしい」



なぜだか心が震えて…

涙が滲んだ。


自分の創った光が、愛する人の夢を支える。

それは、なんて素敵な事だろう…


そう私にも、出来る事がある。

心を照らし続けてくれた響を、今度は私が照らしたい。



「んっ…喜んで……」


そして響の幸せそうな「ありがとう」をスイッチに、脳内が点灯する。



日中は、自然光を活かした柔らかな照明。

陽が落ちてきたら、それを払拭するような暖かな照明。

なにより、響が施術しやすい照明。


そしてヘアデザインを綺麗に反射した光の粒が、瞳から飛び込んで心まで温めてくれるような…

その光の波動が、鼓膜まで心地よくくすぐるような…

お客さんが至福を感じる空間を創りたい。



それは、とても難しそうだけど…
そんな想像に、なんだか楽しくなった。




照明は建築に寄り添う光だと、よく聞いてた。

そして私は、一真の設計に照明で寄り添う夢を見てたけど…


そうきっと、夢も変化するのだ。


響の夢に、その未来に寄り添いたい。
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