JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
その慌ただしさのせいか…

響のバッグに入れたはずのお弁当が、まるで誰かにいたずらされたかのようにキッチンに残ってた。


洗濯をしていて気付くのが遅くなった私は、まぁいいかと自分のお昼に食べようと思ったところで。

響なら休憩を削って取りに戻りそうだと頭によぎる。
もしくは、忙しいからそのまま昼抜きにしたりとか…


時計を見ると、開店にはまだ時間があったから…
そんなに邪魔にはならないだろうと、届ける事にした。




お店の近くに車を停めて、そこを目前に歩いていると…

いきなり店内から響と、まさかの秀人が現れて。
ありえない状況に、思わず身を潜めてしまう。


なんで秀人が今ここに!?

響とよりが戻った事は、励ましてくれたお礼とともに伝えてて。

よかったなと言ってくれてはいたけど…
私を心配する秀人の事だから、もうそんな事がないように釘でも刺すつもりだろうか。


大工なだけにと呑気な事を浮かべながらも、2人の事が気になって。

行き交う人の合間からそうっと覗くと、その姿は近くの路地へと消えて行き…

急いで私もそこに向かった。
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