JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
それから数日後。


「おはよ、憧子さん。
朝食用意したから一緒に食べよ?」


「…

どうしたの、急に…」


出勤時間が私より1時間遅い響は、いつもならこの時間はまだ寝てる。


「俺、朝はバナナなんだ。
最近は怠けてたんだけど、12月はハードだからエネルギー付けときたくて。
あ、バナナ食べれる?」


「…

食べれる、けど…」

朝はあんまり食べたくない。


「じゃあ、せっかく作ったんだし食べてよっ。
1人で食べんのって寂しかったんだけど、憧子さんがいてくれてよかったよ」


そう言われると…
お世話になってる手前もあって。



「…いただきます」


口にしたそれは…
スライスしたバナナにミルクを注いで、蜂蜜をかけたもの。

作ったというほどのものじゃないけど…
料理をしない響からすれば、充分に料理で。

作る事の大変さを身にしみた私は、誰かの料理をもう残したくない。



だけど、食後に差し出されたガムはさすがに断った。


「嫌い?」


「そうじゃないけど、別にいい…」


それは料理じゃないし、そこまで付き合わなくてもいいと思った。
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