JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「ただ、悪いと思ってるなら話くらいはしてくれてもって、電話をかけ続けてたらしいんだけど…

出てくれないし、家出があまりにも長いからって、今回頼まれる事になったのよ」


そう、だったんだ…

でも私はそっとしといて欲しかった。


しかも1か月半で"あまりにも長い"なんて…
まだ当分、帰る気すらないのに。



「誰もね?あなたを追い詰めたい訳じゃないの。
ただ、前を向かせてあげたいだけなのよ」


「前って…

私はっ、前なんて向けませんっ…
向くつもりなんてありませんっ!」


「でも。
どこかで前を向かないと、一生立ち止まってる訳にはいかないでしょう?

私だって。
あなたがいつまでも、息子のせいで苦しんでる姿を見るのは…辛いわ」


「でも私はっ…
一生一真の所にいます…
いたいんですっ!

お願いしますっ、これからもここに来させて下さいっ!」

必死の思いに、涙が零れる。


「っ…

とにかく…
まずはお正月にでも、お母さんと話してみてね?」



その拒絶は柔らかであって…
なのにこの上なく鋭く、心を抉った
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