JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「っ…

でも会えば彼女を苦しめるっ!
だからどんなに会いたくても、俺の都合じゃ会えないんだよっ」


その言い訳は、私の感情をさらに煽った。



「会えるってば!
だって生きてるじゃないっ!」


瞬間。
えっ、と響が表情をなくした。



「そんなの、会えないうちに入らないっ…

会おうとすれば会えるんだしっ、
苦しめたって生きてれば挽回出来る!

陰ながら一方的に会う事だって出来るんだし、いくらでも可能性があるじゃない!

でも私は会えないのっ!


電話をかければ、声が聞けた人と…
振り向けば、隣にいた人と…

もう2度と会えなくなるなんてっ、
ねえ想像出来るっ!?

ううんっ、きっと…
想像とは全然違うのっ…


けど響の会いたい人は、生きてるんだからいいじゃないっ!

たとえ会えなくたって、生きてるだけで救われるっ…」



「っ…

それが生き地獄でもっ?」

苦しげにそう返されて…


言葉を失った。
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