JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
そして…


「帰ろっか」

そう繋がれた手。



「…

響の手、あったかい…」

外気はこんなにも冷たいのに。


「んっ。 いい運動したからねっ。
たまにはこうやって、体動かすのもいいね」

響は明るくそう言ってくれたけど…

きっとあちこち探して、走り回ってくれたんだろう。





両思いだったのに、会えなくなった私と。
失恋したうえに、会えなくなった響は。

どっちが辛いんだろう?


絶対的に会えない分、当然私だと思ってたけど…

いつか、もしかしたらと。
残酷な希望に振り回され続けるのも辛い。


どっちにも、本人にしかわからない悲しみや辛さがあるだろう。

心は、誰かの尺度じゃ推し量れない。


私はそれを、周りから嫌というほど味わって…
わかってたはずなのに。





家に着くと、時刻は深夜の2時過ぎで。

今月は忙しく、今日も0時頃帰宅した響は疲れ切ってるはずなのに…
それどころか、明日は日曜でさらにハードかもしれないのに…

ただの身代わりでしかない私を探しに来てくれたなんて。


改めて申し訳なく思ったのと同時。
胸が締め付けられる…
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