JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
コートから取り出した携帯には、響からの着信が残ってて…

1度きりだったそれは、私がいつも着信を無視してるのを気付いていたからだろう。



「あ~お腹空いたっ!
憧子さんも、一緒に食べよっ?」


テーブルには…

それなら食べれると思ったのか、プリンやフルーツゼリーが置かれてて。

だけどちゃんと、私の分のお弁当も。

それは、初日に食べたお弁当で…
私の好みを知らない響の、知ってる情報。


「ん…

いただきます」



響の気持ちを汲んで、頑張って食べながら…
ふと。

忙しいと昼食を食べる暇もないと、最近聞いた話を思い出す。


もしかして、そんな状態で私の事を…



「ねぇ、響…

お弁当、ありがとう。
あと…

迎えに来てくれて、ありがとう…」


そう言うと、その人は…

目を伏せて照れくさそうに、嬉しそうに笑って頷いた。



今日は、私も色々あったけど。
響も相当ハードだった1日に違いなくて…


その優しさが、胸に染み込む。





< 64 / 321 >

この作品をシェア

pagetop