JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
とはいっても。

私の根本的な問題は、心に重くのしかかったままで…


ほどなくして迎えた、お正月。

結局、実家には帰れないでいた。



響もお正月は休みだったけど、実家には帰らないようで…


「憧子さん、せっかくだからデートしない?」

ふいにそう誘われた。


今の私はイベント事が好きじゃない。
だから、クリスマスも初詣も断った。

だけど響には色々と感謝してるから…
普通のデートなら、たまにはと。


賑やかな場所だったら断ってただろうけど…
抵抗のないドライブが提案されたから、それに出掛けた。



なんでも、見たい景色があるようで…
なのにそれは、隣県である響の地元のなおさら奥地で。

途中の昼食や、うろうろ寄り道した事もあって…

着く頃には夕方になっていた。



「あのさ、もう少しで着くんだけど。
ちょっと見られたくない場所があるから…

目、閉じててくれる?」


「は?」


「ダメっ?」


「…いーけど」

でもそう言われるとすごく気になる。
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