JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
その地に降り立つと。

まるで別の世界だと錯覚するほど…
圧巻の美しさに飲み込まれる。


寒さも忘れて、その世界の一部になってると…



「叫ぼっか」

思わぬ提案がされる。



「…はっ?」


「ほらっ、せっかくだから叫ぼうよ」


ここは山じゃないし、なにがせっかくなんだろう…


「…叫ぶって、何を?」


「なんでも。
例えば、好きな人への想いとか?

ほら叫ぶよっ?」


そんな事、出来るわけないし…
人目だってある。

私は無理、そう断ろうとした矢先。


響の第一声が響き渡る…



「千景ーーっっ!」


ちひろ…

それは響が会いたい、大好きな人の名前だろう。



「ごめんっ、
ほんとにごめんっ!

けど会いたいっ…
会いたいんだっ!

千景が好きなんだよっ…

ずっと…


ずっと!」



その姿は、胸を切り裂くように切なくて…



その叫びに共鳴したのか。
それとも、この世界なら彼に届く気がしたのか。

瞬間、声が走り出してた。
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