JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「風邪ひくから、戻ろっか」

親指でそうっと涙を拭ってくれた響が、
私を抱き支えるように立たせて…

服と手に付いた砂を払ってくれた。


なんだか色々と世話を焼いてる響の方が、年上みたいで頼もしくて…

心が甘えるように寄りかかる。




夕陽は水平線へと、その身を潜めてて…
辺りに、様々な色合いの余韻を醸し出してた。

それはまるで、神様の式典みたいな…
ロゼワインとラベンダーの、色の祭典。


でもどこか、"切ない愛"の色に見えた。



輝く朝陽とか、煌々と光る昼間の空は…
今の私には眩しすぎて。

そんな夕陽がちょうどいい。



それに。

夕陽の紅い暖色は、心をあっためて…
明日を優しく照らしてるよう。



まさしく、響みたいだと思って…

私の手を引いてるその人に、改めてお礼を口にすると。

微笑みが返されて、ふと気付く。


その哀愁の笑みは、夕陽のようだと。



夕陽のように…

あったくて穏やかで、少し切ない。


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