JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
そんな事より、やり切れないのはそれだけじゃなく…


ー「大好きな人に拒絶されて、嫌われたからさ…」ー

確か、酷い事したって言ってたけど…
きっとそれが原因で。


ー「会えなくたって、生きてるだけで救われるっ」
「それが生き地獄でもっ?」ー

結果、大好きな人を生き地獄に陥れたのだとしたら…

どれだけ辛かっただろう。
どれだけ自分を責めただろう。


その辛さは計り知れないけど…
似た気持ちはよくわかる。


なのに私は…
逃げてるだけだなんて、酷い事言った。

自分だって、色んなものから逃げてるくせに…



ー「憧子さんには、わかんないよ」ー

改めて、勝手な事を言ったと申し訳なく思った。


せめて響も、吐き出す事で少しは楽になれないだろうか…



「ねぇ…

何があったのか、聞いてもいい?」


響がそう耳を傾けてくれたように、私もその心を訪れた。



「…

いいよ。
だだ…

憧子さん、引いちゃうと思うけど」

少しためらって、重そうにその口が動き始める。
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