JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「俺と親友が高校卒業した時に…
千景が告白して、その2人が付き合うようになった。

それでも俺は千景が好きで。
だけどそんな状態が続いて、もう苦しくなって…

県外に就職して離れる事も考えてたから、その決断をする前に…
ダメ元でぶつかろうって。

なのに、断られたらなんかっ、気持ちが抑えられなくなって…


無理やり押し倒したっ…」

辛そうに眉を顰めて。

「愛されないならいっそ、嫌われた方がマシだって思ったのかもしれない」と、言い添えた。



「けどいざ嫌われるとやり切れなくて…
罪悪感でおかしくなりそうでっ…

そんな俺と千景の様子が変な事に気付いた親友は、何があったのか聞いてきて。
取り繕えないと思ったのか、千景がそれを打ち明けて…

当然激怒した親友からは、殴られたし、縁を切られたし…

それに、俺と千景は家族ぐるみで仲良かったから。
そいつは千景を守るために、俺との関わりを防ごうと、俺たちの家族にもその事を暴露して。

もちろん親父にも殴られたし、母親には泣かれたし、家族付き合いは気まずくなったし…

俺はそこからひとり逃げて、こっちに就職したんだ」


そう告げた響の瞳は、自分を蔑むように翳って見えた。
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