JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
一応誘ってはきたものの、それをよくわかってる秀人はすんなりとポーズを決めて…

ふいに。


「おまえっ、手ぇどーしたんだっ?」

私の手を指差してきた。


何の事だろうと、構えてた携帯を持ち替えてそれを探ると…
擦りむいて血が出ていた。

さっきよろけた時、柵にぶつけたんだろう。


「こんなの大した事なっ…」

言い終えるのを待たずに。


グイと引かれたその手に、唇が押し当てられて…

その傷を、つぅと舌がなぞった。


瞬間ドクリと、身体が驚きの反応を示して…
すぐにそれを振り払う。


「っ、何してんのヘンタイっ」


「ヘンっ…
俺は消毒しようかとっ」


「余計ばい菌が入るからっ」


「バイっ…
ひどくねぇかァ!?」


「そうじゃなくてっ…
口の中はばい菌だらけだって、知らないのっ?」


そんな事気にしてたらキスだって出来ないし、気にもしてないけど…
秀人とはそんな関係じゃないから、変に戸惑ってしまってた。


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