ifの奇跡
なんで…どうしてこんな偶然が起こるの……。

どうして、こんな所で、こんなタイミングで出会ってしまうの。

意地悪すぎる現実に……さっき受けたはずの衝撃がどこかに吹き飛んでいた。


「どっか痛い?怪我したとか…」


驚きで涙は止まったけど、声は出せなくて…首を横に振り大丈夫だと伝えた。


「じゃあ…立てる?いつまでも道端に座り込んだままじゃ…他の人の邪魔にもなるし。」


そう言って私の顔の前に手を差し出してきた。

その手を取れるわけなんてない……。

自分で立とうとした時…転けた時に挫いてしまったのか右足首にズキンッと痛みが走った。


「あっ…!」


正面から腕を支えてくれていた彼がバランスを崩した私の体を咄嗟に抱きとめてくれた。


「はぁ…危なかった…。」
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