ifの奇跡
まさか…起きてる?

着ているのは…下着だけで、冬吾の手は完全に私の素肌に触れていて……

彼に触れられて、私の気持ちが落ち着いていられるわけなかった。


「冬…吾…寝てる…の?」


そう呼びかけても彼からの返事はなかった。

その代わり、彼の腕の力は強まるばかりで……起き上がっていた私の体が徐々に後ろに倒されていく。

私の心臓も、もうこれ以上は持たないと思った時、

腰に回されていた冬吾の腕が私の身体を挟むようにシーツに両手をついて、私の身体に彼が跨がっていた。

目の前に私を見下ろす彼の瞳があって、心臓が飛び出そうなほど高鳴っている。


「とう…ご…?」


何も答えてくれない彼の顔が徐々に近づき、輪郭がぼやけて見えなくなってきた。

ダメ…なのに……

彼の唇が、私の唇に優しく重ねられたその瞬間

自分の気持ちが溢れ出したかのように目から熱い雫が流れ出す…。


「莉子…好きだ。」
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