ifの奇跡
「莉子…今まで一人で苦しめてごめん。俺、本当に自分が情けない。」

「冬吾は責任感じないで…。何も言わなかった私が悪いんだから…。」

「違う。お前に別れを告げられたあの時…情けなくても、何してでも手を離すべきじゃなかった。あれから、後悔しか残らなかったよ。」

「冬吾…」

「会いに行こうと思ったんだ。別れるにしても…会って話しをしたかったから。だけど、やっと時間が取れていけると思った時には、今度は怖くなった。嫌な顔をされたらどうしようって…迷惑がられたらって思ったら結局行けなくて時間だけが過ぎていって…。気づいたら、結婚したって聞いて…本当にショックだった。」


私は自分のことしか考えてなかった。

こんなにも彼を追い詰めていたんだと初めて知った。


「今度こそ諦めなきゃいけないんだって思った。莉子のことを忘れるために仕事に没頭していったけど、再会した瞬間、思い知らされたよ。ああ…俺全然、忘れられてなかったって…だから、もう一度俺の所に戻ってきて。一人で全て背負わずに俺にも分けてほしい。」

懇願するような彼の声が耳元で聞こえ、私の胸を震わせる…。

いいんだろうか…？

もう一度、彼と一緒にいる事は許されるんだろうか…？

震える胸に問いかけた。
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