ifの奇跡
彼は友達
両親と姉と4人暮らしだった私。

高校卒業後、東京の短大に進むために上京した私は、短大を卒業後も東京に残るつもりで就職活動をしていた。

地元にいた姉も私が19歳の時に結婚し、相手の転勤で福岡に嫁いだ。

希望通り…とまではいかないまでも就職氷河期と言われたその年にしては割と条件のいい所に就職も決まり内定をもらう事が出来た。

2年…という時間は本当に短くてあっという間に過ぎ去っていく。

特に2年になってから卒業までの1年間は速かった……。


だけど短かく限られた学生時代だったからこそ、毎日が充実していたし一生懸命だった気がする。

そして何より周りの友人達に恵まれた2年だった。

私の人生の中でも、あの2年間は本当に特別な時間だった。

それは今でも変わる事がない私の一生の宝の時間……



私が通っていた短大は女子短だったから、男性と出会う場と言えばそのほとんどが合コンかナンパ。


季節は春…2年になる直前の春休みに

私と彼、篠崎 冬吾(しのさき とうご)はその合コンで出会った。


彼氏と別れて間もなかった私は当時新しい恋なんて全く考えてなかった。

元彼を引きずっているわけではないけど、だからと言って前向きにもなれない……そんな私を心配した友人の桂子が彼氏の友達でもあり、高校の先輩でもあった彼を私に紹介してくれることになった。

初めは全く乗り気じゃなかった飲み会だったけど、最終的には桂子の先輩という事もあって、そこまでの警戒心も抱かず新しい男友達を作ってお酒を楽しむつもりで行くことにした。
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