ifの奇跡
「莉子…イエスの返事は?」


そう聞く彼の声が、ひどく優しくて…余計に涙が止まらなくなった。

これ以上はもう限界だと思うほど胸が愛しさではちきれそうだった。


「…はい…。」


ちゃんと返事がしたいのに、涙交じりのブサイクな声しか出なかった。

涙で滲んだ視界の片隅にキラキラと輝く光が映り込む。

それは涙のせいでも夜景の光でもなく、私の左手薬指にはめられた指輪から放たれていた。


「ありがとう。俺が一生をかけて莉子を守る。今まで出来なかった分もまとめて絶対に幸せにするから。」


彼の声が直接心を震わせるように入ってくる。


「ありがとう…。私も一生かけて冬吾を幸せにするから、これからよろしくお願いします。」


彼の目を見つめてそう言うと、どちらからともなくキスをした。

今度のキスは長くて甘いキスだった…。
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