ifの奇跡
美沙と2人で懐かしいそのお店に入ると、冬吾を除く3人はすでに揃っていた。

いつも遅れて来ることなんて無かったのに……

さっきの話を聞いたばかりだからか…思考が嫌な方向にばかり向いてしまう。


「冬吾は少し遅れるって言うから、先に始めようぜ」


哲平君の言葉で、みんなで先に始めることにした。


「とりあえず桂子と莉子ちゃんと美沙ちゃんの就職内定を祝って、カンパーイ!!」


淳君の音頭でみんなとそれぞれグラスを合わせて乾杯をした。


「「「カンパーイ」」」


笑顔でありがとうと言いながらも、目の前の空席がどうしても気になる。

なんで今日は遅れてるんだろう?

気になるのに聞けなくて……冬吾が座るはずの席ばかりを見ていた。


「莉子ちゃん…冬吾の事が気になってるんでしょ?」


トイレに向かう途中、廊下ですれ違った哲平君に言われた言葉。


「え…なんで?」

「だって….ずっと泣きそうな顔して冬吾の場所見てるから……」

「……っ」


自分がそんな顔をしているなんて言われるまで気づかなかった。


「大丈夫だよ。」
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