ifの奇跡
冬吾が用意してくれたミネラルウォーターを飲みながら、1人ソファに座り映っているテレビを見ていたけど、頭の中にはテレビの内容なんて全く入ってこなかった。

どうしよう…どうしよう….

刻一刻と近づいているその瞬間(とき)を思うと、本当にどうしようしか出てこなくて…。

冬吾がお風呂に入ってから15分…近くが経っている。

もうすぐ、そこのドアが開いてお風呂上がりの冬吾が戻ってくる。

そんな姿を想像しただけで…ありえないくらいにドキドキと脈を打ち始める私の胸。

一度は火照りの引いた頬にまた熱が灯りはじめた。


ガチャッ


その音にビクッと肩が震えた。

ソファの上で三角座りをして膝に埋めていた顔をあげると…首にタオルをかけて上半身裸の冬吾が部屋に入って来たところだった。

下はちゃんとスェットのパンツを履いてくれてるものの…目のやり場に困ってしまう。

冬吾はそのままキッチンに向かうと、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターのペットボトルを飲み始めた。


飲み込むたびに上下するその喉仏に、冬吾の男の部分を感じてしまい胸がキュンと音を立てた。

ペットボトルをトンッと置いた冬吾がその視線をゆっくりとこっちに向けた。

そして、冬吾の視線に捕まった時、一層大きく心臓が音を立てたのが聞こえた。


男なのに…お風呂上がりの冬吾から漏れ出る色気が半端なくてお腹の奥がキュウッ〜と締め付けられる。


冬吾はそんな私を見透かしているかのように、ニコッと微笑むと濡れた髪をそのタオルで拭きながら私の隣に腰を下ろした。

下に向けていた頭をあげてタオルが取り払われると短い冬吾の髪の毛は、タオルドライだけでもうほとんど乾いているように見えた。

それから彼の視線がまた私を斜めに捕えた。


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