ifの奇跡
姉も私の異変に気付いたのか、電話の向こうが私を心配する声で一瞬騒がしくなった。


『もしもし莉子?どうしたの何か急に様子が変になったけど…大丈夫!?』


姉の大きな声に…ハッと我にかえると、どうにかその場を誤魔化し電話を切った。

目の前の壁に貼られたカレンダーが何気なく目に映る。

月が変わったらめくって破いていくタイプのカレンダーとは違って

そこにあったのは一面に1月から12月までの全ての月が載っているタイプのカレンダー。


今はもう4月も下旬…。

目線だけを4月から斜め上に動かし、彼と最後に会った3月の欄を見た。

最後の生理は?彼と会った時は間違いなく生理じゃなかったはず。

だって彼とはあの時、Hもしてたから…。

それに直後でもなかった気がする……。

だとしたら最後の生理は2月の末辺りだったんだろうか。


私は不順知らずの姉とは違って、ストレスなどの影響をそう言った形でモロに受けやすい体質なのか昔から生理不順になる事はよくあった。

だけど、ここ最近は不順になる事もなく、数日の誤差が出る時もあるものの、ほぼ30日周期できちんときていたのに。

母のこともあって精神的にも体力的にもにも疲れていたのは確かだったから…もしかしたらそれが原因かも知れないし。


「そうだよ、きっと…」


誰もいない家の中で震えた自分の声が….やけに頭の中に響いた。
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