ifの奇跡
それからまたいくつかの季節が流れ、平穏な日々を送っていたと思っていたのに。

嵐は音もなく私たちに忍び寄っていた。

そして私たちはその大きな濁流の波に飲み込まれていく…………。


ずっと落ち着いていた母の病状が悪化した。


詳しい検査のため、しばらくの間また入院をする事になった母だけど結局母が退院できる日は来なかった。

仕事と看病の生活になったけど、苦にはならなかった。

少しでも母と一緒にいたい…。

そんな気持ちの方が大きくて。

日に日に体力が落ち弱っていく母を見るのは辛かったけど、会えない方がもっと辛かったから。


そんな時、また世話好きの上司から例の話が舞い込んできた。

だけど、今回ばかりは私も藁にもすがる思いでその話を引き受けた…。

相手は、自分から持ってきた話にも関わらず、きっといつものように半分は断られるとでも思っていたのだろう…。

私の態度に目をパチパチさせ、相当驚いている様子だった。




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