ifの奇跡
「ハイ、どうぞ。ここに置いておくね。」

そう言ってキッチンに戻ろうとした私の腕を彼の手が掴んだ…。

そのまま腕を引かれバランスを崩した私は彼の膝の上に横向きに座らされ腰には腕が回されていた。


「…僕の可愛い莉子…大好きだよ。」


彼の顔がすぐ目の前にあって…息ができなくなりそうだった。


「信志さん…私も…」


彼の首に自分から腕を絡ませ体を密着させると、首筋に噛み付くようなキスをする。

首筋から鎖骨の窪みを舌でなめあげる彼に甘い吐息が漏れたその時、

突然感じたピリッとした痛みに…一瞬顔を歪めた。

“もしかして、付けられた?”


「ゴメン…。今日の服似合ってたのにコレでは着て行けなくなったね。待ってるから違う服に着替えて着なよ…。」

「うん…分かった。」


自分の部屋に入って鏡を見た私は、体に付けられたそれを指でなぞった。

これは、故意につけたの…?


「新しい服決まった?」


突然背後から聞こえた声に大げさなほど肩が跳ねた…。
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