諦めて恋だと気づく




 ―――雪は一旦姿を消したかと思うと、また復活した。


 世間はクリスマスですよ、と美紗が言っていた。それにリア充爆発しろ!と、賑やかな男子と言っていた。クリスマスに恋人いなくて悪いか!ケーキは食うぞ!などなど言っていて、私は笑ってしまった。

 クリスマスと冬休み云々が頭にちらついている中で、私もクリスマスなんてと思う。


 ケーキは楽しみだ、と思いながら眠気と戦っていた、ある日。


 彼はやはりダッフルコートを着ていた。黒だと思っていたが、ネイビーにも見える。
 ポケットからひもが伸びて、耳に。音楽を聞いている。
 なんの曲を聞いているのだろう。


 私も眠気を吹っ飛ばすため、音楽を聞いていた。激しいロックである。彼をちら見しながら耳ではロックだなんて、似合わないなと思う。
 眠気は手強い。

 手強い、はずだった。



 駅に停車した電車に、人が乗ってくる。
 こう、通学だとかで利用していると、同じ人が乗ってきているとか、見慣れない人がいるとか、わかる。

 見慣れない女の子が乗ってきて、学ランの彼に話しかけたのを、見た。


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