ラブ×コントロール


「咲原さん、ボーッとしてたでしょ?」


「あっ…ごめ…」


「僕が隣にいるんだから、出来たら僕の事考えてて欲しいなっ」


「そうだよね…」


いつもの爽やかな笑顔でそう言われ、私は考える。


…隣にいるのは水内くんなのに、他の事考えてちゃダメだよね。


「じゃあ、僕の見たいのでいい?」


「あっ、うん」


すると水内くんは、ヒットしていた洋画のラブストーリーを選んだ。


上映時間になって私達は中に入る。


「水内くん、ラブストーリー好きなの?」


「うん、普通に見るよ、それにやっぱりデートだしねっ」


「えっ…うん」


“デート”


そして上映時間になり映画が始まる。話は見てると意外と面白かった。


けど、洋画のラブストーリーなだけあって、ちょっと濃厚なラブシーンも…。


その瞬間、ちょっと気まづかったのは私だけなのか、水内くんは平然とジッとスクリーンを見ていた。


やっぱり大人だなぁ


アイツはきっと見ないだろうな…こんなラブストーリー


あっ…私また…


ゴメンね…?水内くん。


私はうつむいて心の中でそうつぶやいた。



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