ラブ×コントロール


そして映画が終わり、私達は近くの喫茶店に入る為少し歩道を歩くことに。


その時、急に水内くんに肩を掴まれた。


「咲原さん、こっちにきてっ」


「えっ?」


水内くんはそう言うと、私を車道側から離し自分が車道側を歩いた。


「あっ、ありがとっ」


「いや、当然だよっ」


「水内くんって、本当に優しいね」


「ふふっ…そうかな?嬉しいけど、誰にでもじゃないよ?」


「えっ?」


「君にだけだよ、咲原さん」


「私だけ…?」


それって…


私は気づいてしまった。


水内くんのその真っ直ぐな気持ちに。


けど私の胸の中は嬉しい気持ちと、苦しい気持ちが混ざっていた。


水内くんの優しさに、少し胸がチクッとしたから…。


そして喫茶店でしばらく話すと、その日水内くんとは別れた。


別れ際“今日は嬉しかったよ”って言われたけど“私も”ってすぐ返せなった。



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