ラブ×コントロール
カイは私の方を見ないでそう言った。
「ありがと…」
「えっ?」
「来られて良かった、知れて良かったと思う」
「そうか」
「うん」
なんなんだろう…カイといる時のよく分かんない安心感と不安は。
こんなにも私のなかに膨らんでく。
「…あれ?」
私はふと、グラウンドに落ちてたあるものに気づいて走りだす。
「おいっ、何だよ?」
「ねぇっカイ、見てボール!」
「本当だ、誰かの忘れものか?」
カイも駆け寄り、私の手に取ったボールを見る。
「……ねぇ……投げてよ?」
「えっ?今かよ?」
「うんっ、ダメ?調子悪い?」
「いや、別にいいけどっ」
カイはそう言うと、マウンドに行き、私は少し離れた所から見ることに。
「一球だけだぞっ?」
「うんっ」