ラブ×コントロール
「おっと…悪い、俺はこれで」
「待って!一平くんもいてほしいの…」
「えっ?俺も?」
二人が不思議そうに私を見ていたけど、私は思い切って口を開いた。
「あのさ、別に言いたい事とかじゃないんだけど…ちょっと試してみたい事があるんだけど…?」
「はっ?何だよ?」
「うん…」
そして、私達はグラウンドへ戻る。
部室からバットとヘルメットを借りて、私は右のバッターボックスに入る。
マウンドにいるカイからの声が飛ぶ。
「本気か―?おまえっ、俺の球打ちたいなんてっ…」
「本気―!だからお願い、いつも通り投げてっ?」
マウンドに向かって私はそう言った。
するとキャッチャーの場所に構える一平くんが、
「何で…?咲原」
「うん…何かもう少し近くでカイの球を見てみたくて」
「近くでって…もし当たったら?」
「大丈夫よ…だってアイツの自慢はコントロールだから」
「咲原…」