ラブ×コントロール


すると、マウンドで構えてるカイから声が飛ぶ。


「おい、行くぞー?」


「あっ、うん…!」


カイの言葉に私も構えた。


そして、カイの腕から私に向かって一球目のボールが投げ込まれた。


―バンッ!


目の前を通り過ぎて行った速い球は、一瞬のうちにキャッチャーミットに入ってしまった。


私はバットを振る事も出来なかった。


一平くんから戻されたボールを受け取ったカイが口を開く。


「おーい、一打席だけだぞ~?」


「わっ…分かってるわよ!」


私が再び構えようとすると、


「咲原、バッティングの経験は?」


「えっ?あ~小さい頃お父さんに連れられてバッティングセンターに行った以来かな…」


「大丈夫かよ?」


「大丈夫っ」


よしっ…!


私はカイの腕から投げられるボールを、真剣に見た。


そして二球目


―バンッ!


はぁ……っ!


私は思い切りバットを振ったけど、当たらず空振りだった。



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