ラブ×コントロール
「いやいや、ほとんど経験ねーのにバット振って当てただけでもすげーよ?咲原」
「そんな事ないよ…だってアイツ、全力投球じゃなかったでしょ?」
「あっ…うん、分かったか?」
「うん…」
やっぱり…ね。
「けど、おまえに当てまいとコントロールはバッチリだったけどな」
「そっか…ありがと」
「おーい!カイ、ランニングがてら咲原駅まで送ってけよ~」
「えっ!?いいよ一平くん、まだ明るいし大丈夫だから…」
と言い終えようとする頃には、カイはすでに私の前に来ていた。
「しゃーねーなっ、ほらカバン取ってこいよ?」
「えっ?うん…」
そんな風に言われ、私は思わず“うん”と言ってしまい、グラウンド前の階段に置いてきたカバンを取りに行く。
「それじゃ一平、片付けよろしくな?」
「あぁ…なぁカイ?」
「あっ?」
「普通なかなか出来ないよな?あんな事……おまえの事信じてないと、なかなかバッターボックスには立てないよな」