ラブ×コントロール
「……それとも、俺といたくないんか?」
「えっ…?」
カイの質問に、私は言葉に詰まってしまう。
私が黙ったままいると…
「……だよな?」
えっ?ちがっ…
そのまま歩きだそうとするカイを見て、私は思わず強く声をあげた。
「だっ…誰もそんな事言ってないわよ!」
「………えっ?」
「あっ…だから別にっ…」
恥ずかしくなった私は、そう言いながらカイを追い越して先に歩く。
ヤバイ…思わず言ってしまった。
何か話変えないと、
「そっ…そういえば杉崎高とはいつ当たるの?」
「えっ?あぁ…杉崎高とは上手く行けば決勝だ」
「決勝…」
「あぁ…必ず勝ち進む、約束もあるしなっ」
そう言うとカイは、ニカッと無邪気な笑顔を見せた。
「うん…応援してる、頑張って」
「あっ?あぁ…」
「何よ?」
「珍しいと思ってな、おまえが俺に“頑張れ”なんて」
「べっ…別にそんな事ないわよ」
だって頑張ってほしいから…カイには夢を叶えてほしい。
その瞬間を…私も見たいのかもしれない。
そして、カイは私を駅まで送ると、学校の方へ走って行った。
私はその姿を、見えなくなるまで見ていた気がした。
そして地方大会予選の一試合目の日が近づいていた。