ラブ×コントロール
そして三回戦目の当日。
ザワザワとしている両スタンドの応援席では、桜川の試合が始まろうとしていた。
「も―う!宇美ったら遅いよ~何してるの一体」
ベンチでは、スタンド席を見ながら幹野が口を開く。
「絵美ちゃんがイライラしてるな~多分咲原が来てないからだろうな?」
「ふーん」
「おいカイっ」
「何だよ、別に気にしてねーよっ」
「じゃなくて、グラブなしでマウンドに行くのか?おまえは」
「はぁ?」
見ると、自分の手元にグラブがない事にカイは気づいたが、あたかも何もなかった顔で言った。
「ちょっとしたウォーミングアップをしてただけだよっ、今から行くんだよ!」
そう言うとカイは、今度こそグラブを持ってマウンドへ向かった。
そしてスタンド席をチラッと見る。
「はぁ―…」
…アイツ…
そして、プレイボールの合図がかかり試合が始まる。