ラブ×コントロール
その後、カイは調子を取り戻したのか、次々とバッターを撃ち取る。
そして試合は進み、六回表桜川の攻撃前のベンチでカイは幹野に話かけられる。
「目…覚めたか?」
「アホか、起きてるわっ」
「じゃあ、やっと意識したのか?今が準決勝だって事に」
「そんなんじゃねーよっ、ただ…」
「ただ?」
「ちょっと緊張感がなかったんだよ、多分…」
「そうか、じゃあ誰かがやっと持ったその“緊張感”でも持って打席に立つかな~っと!」
バットを持って通り過ぎる一平を見て、カイは少し睨む。
「嫌みか…アイツっ」
「多分…分かってるんだよおまえの事、だからホームラン打たれた後もマウンドに駆け寄らなかったろ?」
「どうだかっ、そういえばおまえはヒマそうだな?ずっと敬遠で」
「あぁ、でも次の試合は相手してもらえそうだけどなっ」
「まだこっちは試合中だし負けてるぞ?」
カイがそう言うと、幹野は指を差し“おまえのせいだろ?”と無言の訴えをしてきた。