ラブ×コントロール
全力投球
そして、決勝戦を明日に迎えた日の夕方。
練習を早めに切り上げた野球部は、もうグラウンドにはいなかった。
沢山いたギャラリーも帰って、誰もいないグラウンドにはセミの声だけが響いていた。
私はなんだかカイの事が気がかりで、合宿所前をウロウロしていた。
でも監督に見つかったらヤバイしな~。
でも…他に会える当てがないな。
すると、上から声が飛んできた。
「おいっ、ストーカー!」
はっ!?
ストーカー!?
声の方を見上げると、カイが部屋の窓から顔を出していた。
「あっ…カイ、っていうかストーカーじゃないわよっ!」
カイの言葉に私は思わず大声で叫んでしまう。
「おまっ…!シー!大声あげんなっ」
カイにそう言われて、私は焦って両手で口を塞ぐ。
するとカイは、少しぶっきらぼうに口を開く。
「ちょっと待ってろ…今そっち行くから」
「えっ?うん…」
来てくれるんだ…。
カイはすぐに降りて来てくれて、私達はグラウンドの方へ向かった。