ラブ×コントロール
グラウンドに向かう前、私は立ち止まる。
そして意を決してカイに向かって言った。
「ねぇ、部室から取ってきてほしいものがあるんだけど…」
「はっ?何だよいきなり…まさかまた“打ちたい”とか無茶言うんじゃ?」
「ううん、打つんじゃなくて、その…」
「何だよ…」
黙ってる私を、カイが覗き込んでくる。
そんな私を見て何かに気づいたのか、カイがハッとする。
そしてカイは、少し驚いた顔で私を見ながら口を開く。
「まさか、おまえ…」
「その……まさかだったりして…?」
カイに向かって私がそう言うと、カイは眉間にシワを寄せながら、私の手を掴んだ。
「ダメだ!帰るぞっ、送るから」
カイは私の手を引っ張り、強引にその場から離れようとする。
その手を私は強く振りほどいてカイに言った。
「待ってカイ!」
「無理だ!…遊びじゃねーんだぞ!」
少し険しい顔でカイは強くそう言ってきた。
「だからよ!…遊びじゃないから受けたいのっ!」