ラブ×コントロール


私は真剣に、カイに向かってそんな言葉を返す。


カイは驚いた顔をしたまま、黙って私を見てきた。


「それに…カイにも少し迷いがあるんじゃない?」


「……俺?」


「うん、だから…その…」


私は次の言葉に詰まり、私達はしばらく沈黙になる。


するとカイがそっと口を開いた。


「…ちょっと待ってろ」


そう言うとカイは部室へ入って行き、持ってきたのはカイのグラブとキャッチャー道具だった。


「絶対……俺の言う通りにしろよっ?」


「……うんっ、分かった」


カイの言葉に、私はカイの目を真っ直ぐ見てうなづく。


そして私達は、ギャラリーも部員も誰もいないグラウンドにきた。


私は体育服に着替え、カイに言われた通りキャッチャー道具を身につけ、カイの言われた所にミットを構える。


こんなところに立ち、私はドキドキして初めての緊張感を味わう。


すると、マウンドに立つカイから声が飛ぶ。


「一球だけだぞっ!」


「うんっ…」


そして私はカイに言われた通りに構え、カイは投球フォームに入る。


カイの腕から投げられたボールは、私の構えたミットにバシッと入る。



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