ラブ×コントロール
ちょっと見えたボールにも、私は目をつぶったかもしれない。
…けど……
受けたボールを手に持ったまま、私はマウンドのカイに向かって言った。
「ねぇ…遅いよね?……今の……」
私の言葉にカイは驚いた顔をして、少し大きな声を出した。
「バッ…バカヤロ―!おまえに全力投球なんかできるかよっ!」
「してよ!……お願いっ」
カイに向かって私は大きな声で真剣にそう言うと、ボールを投げ返した。
私から帰ってきたボールを受け取ったカイは
、少し戸惑っている様子だった。
「一球だけでいいのっ、全力投球で…」
「…アホかっ、どっかに当たったらどうするんだよ!」
「大丈夫よ…だって得意なんでしょ?…コントロール…絶対ミット動かさないからっ」
「…コントロール…」
お願いっ…
カイ、私あんたの全力投球を受け止めたいの。
私に全力投球すれば、あんただって…。