ラブ×コントロール


しばらく、カイは黙っていた。


そして持っていたボールを自分のグラブにパシッと入れると、口を開いた。


「……絶対ミット動かすなよっ?」


「えっ…?」


分かってくれた…?


「…全力投球で一球だけだぞっ!」


「うんっ!」


そしてお互いに再度構えることに。


「宇美、もうちょい右っ」


「あっ、うん!」


カイに言われ私はミットの位置をずらす。


とうとう来るっ…


「いいか―?本当に動かすなよ!動かしたらおまえ、一生俺の言う事聞けよっ!!」


そう言ってカイは投げた!


私は歯を食い縛る。


絶対…目をつぶらない!


―バンッ!!


私の手のミットに、強くて速いボールが一瞬にして届いた。


「はぁっ―…」


目をつぶらない所か、瞬きしてるヒマもなかったかも…。


けど、私のミットからボールがこぼれていた…


受けたはずなのに、衝撃が強かったのかポロッとボールがミットから転がっていた。



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