ラブ×コントロール
「あっ…」
私は転がったボールを拾おうとするけど、手のしびれと、一気に腰が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまった。
そんな私を見て、カイが焦って駆け寄ってきた。
「おいっ!どうしたっ!?」
私はカイにキャッチャー道具を外してもらっても、まだ立ち上がれなかった。
「どっか打ったのか?」
「ううん…」
「じゃあ、どうしたんだよ?」
「…力が抜けて、立てない…ははっ」
「はぁ―…?何だよそれ、こっちこそ力抜けるっつうの!」
そう言ってカイも私の前に座り込む。
「ごめん…」
するとカイは私の頭をポンッと叩いてきた。
ドキッとして私はカイを見る。
「ったく…おまえ無茶苦茶すぎる、危なっかしいヤツ」
「だって…カイに全力投球して欲しかった、それに…」
けどカイは私の次の言葉を待たないで、先に口を開いた。
「スッキリしたよ、おかげで…」
「えっ?」
カイは私の目を見ながら言ってきた。
「おまえの言う通り俺、少し迷いがあった…自分でも自信のあったコントロールにも決勝を前に不安になった…」