ラブ×コントロール
桜川スタンドでは、絵美がいつになく緊張した顔で私の手を握る。
「あと一人だよ~宇美…」
「絵美…きっと大丈夫、応援しよっ?」
「うんっ…!」
「咲原さんは、本当に大丈夫…?」
「えっ?………うん」
私は水内くんを見た後、グラウンドのカイを見つめた。
そして野々村との対決が始まり、カイは構えて投げたっ。
「ストライク!」
「ボール!!」
初球のストライクのあとのボールに、騒つきがおきる。
バッターボックスでそのボールを目の当たりにした野々村が、キャッチャーの一平にポツリと言った。
「今の…何キロだ?」
「……表示されただろ?」
「そっか、現実か…打つしかないなっ」
野々村はそう言うと、バットをギュッと握りしめる。
そして3球目。
カキーン!