ラブ×コントロール


この試合の行方を、野々村は悟った。


あの球に自分が手を出せなかったことで、勝負が決まった事に。


そして、


「バッターアウト!ゲームセット!!」


最後のバッターがアウトになり、ゲームセットになる。


「よっしゃ――!!」


カイがマウンドでガッツポーズをする。


「ワワァァ――!!」


桜川ナインが、喜びながらカイの元へ駆け寄った。


ナインと喜び合うカイは、今までで一番の笑顔を見せていた。


桜川スタンドも大盛り上がりをしている中、カイを見て、私は自分の頬にいつの間にか流れているものに気付く。


……えっ……?


手で自分の頬を触ると、


…涙…?


私…泣いてる?


私の目には、いつの間にか涙が溢れていた。


喜びに夢中になっていた絵美が、そんな私に気付く。



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