ラブ×コントロール
「えっ!?だっ…だってあれは…その…私だって泣くつもりなんかっ」
「ふーん…?」
カイは私の言葉にそっぽ向いた。
するとナイン達から声が飛ぶ。
「カイ――!!」
カイは呼ばれた方に向かおうと、私の横を通りすぎようとする。
「えっ……カイっ」
私、まだおめでとうって言ってない…。
するとカイは一旦足を止めて、私の方を向かずに口を開いた。
「……約束」
「えっ?」
「昨日…約束しただろ?」
「あっ…うん」
「…夕方5時にあのグラウンドに来いっ」
「えっ?あの…グラウンド?」
「分かるだろ?…じゃあ」
そう言うとカイは帽子をかぶり、ナイン達の元へ走って行った。
言えなかった…おめでとうって。
でも…“あのグラウンド”
分かるよ…カイ。
私は沢山の人達に囲まれているカイをしばらく見つめていた。