ラブ×コントロール


「えっ!?だっ…だってあれは…その…私だって泣くつもりなんかっ」


「ふーん…?」


カイは私の言葉にそっぽ向いた。


するとナイン達から声が飛ぶ。


「カイ――!!」


カイは呼ばれた方に向かおうと、私の横を通りすぎようとする。


「えっ……カイっ」


私、まだおめでとうって言ってない…。


するとカイは一旦足を止めて、私の方を向かずに口を開いた。


「……約束」


「えっ?」


「昨日…約束しただろ?」


「あっ…うん」


「…夕方5時にあのグラウンドに来いっ」


「えっ?あの…グラウンド?」


「分かるだろ?…じゃあ」


そう言うとカイは帽子をかぶり、ナイン達の元へ走って行った。


言えなかった…おめでとうって。


でも…“あのグラウンド”


分かるよ…カイ。



私は沢山の人達に囲まれているカイをしばらく見つめていた。



< 300 / 364 >

この作品をシェア

pagetop