ラブ×コントロール
「水内くん…」
水内くんは、私の手元の本に気づいたようで、私は焦った。
「あっ!これは違うっ、落ちてたの戻そうとしてたのっ!」
慌ててそう言うと、水内くんはクスッと笑った。
「ふっ、可愛い言い訳だね、咲原さん」
「えっ…かわっ?」
“可愛い”なんてあまり言われないから私は少し照れてしまった。
戸惑いながらも私は本を戻した。
「水内くんはどうしたの?読書中?」
「まぁ、そんな所だよ、良かったら一緒にあっちで座って読まない?」
「えっ…うん」
私は野球本ではなく、適当に小説を持って、水内くんと向かい合わせの席に座ることに。
「そういえば野球部すごいね?本当にベスト4に入るなんて」
「…そうだね」
「本道の活躍が楽しみだね?」
「そう…だね」
そう言った水内くんの笑顔は、少し意味深に思えた。