ラブ×コントロール
「キャー!!」
絵美の悲鳴が私の隣で響く。
耳を一瞬ふさいで私が、どの人?と聞くと、
「あの人!今ベンチから出てきた!」
「え~?あ~あのちょっと身長高い人?」
「そう!彼は隣のクラスの幹野くんっ、高校に入ってすぐにもう四番打ってるんだよ~すごくないっ?」
「えっ?あぁ~そうなんだすごいねっ」
絵美の恋相手の幹野くんは、なかなかのモテ男らしい。
確かにけっこう甘い顔してるかも…長身だし、あれはモテるな。
と、私が冷静に分析していると、絵美に肩を叩かれる。
「ねぇ宇美、あの人、うちのクラスのっ…ほらっ、宇美と同じ名前のっ」
「同じ名前って、本道だったら海じゃなくてカイだってば~」
「うん、分かったから投げてるのって…」
絵美が少し慌てながら、私に指差しでそう言うから私はその指先を見た。
投げてる?
マウンドにいたのは…。