ラブ×コントロール


「あ~負けちゃったぁ…私幹野くん迎えに行ってくるっ」


「えっ?絵美っ」


そう言って絵美は走って行ってしまった。


「本当は…羨ましいんじゃない?」


「えっ?何が?」


「彼女みたいに、彼の元へ走って行きたいんじゃない?」


「なっ…何言ってんの?そんなこと…」


「そっ?分かったよ、あっ…それからデートの誘いを再度申し込むのはやめたよ」


「えっ?」


「あんな本道を相手に、挑むのは不公平だからね…それじゃ」


「あっ…水内くんっ」


そう言って水内くんも、スタンドから出ていってしまった。


“あんな本道”って?


私がふとグラウンドを見ると、カイはベンチ前に一人立ちマウンドの方を眺めていた。


カイ…。


そしてカイはゆっくり奥へ下がって行った。


やっぱり悔しいよね?


カイ…あんた…。



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