ラブ×コントロール
「じゃあ…何だよ?」
「だからっ…」
いざ目の前だと、言いにくい…。
「用ねーんなら帰るぞっ」
「あっ…カイっ」
カイがそう言って背を向けて行ってしまいそうで、私は思い切って口にした。
「カイっ!…スゴかった…」
「えっ?」
「だから…スゴかったよ、それだけっ!」
カイはちょっと驚いた顔をしていた、それを見て照れくさくなった私は、カイを追い越して帰ろうとする。
「おいっ!」
すると、突然カイに手を掴まれる。
「なっ…何っ?」
「おまえ…まさか水内とのデート受けるつもりなのか?」
「えっ?断ったし…あれから誘われてないよ」
「あっ…そう」
カイはそう言うと手を離して、いつもの無邪気な笑顔を見せる。
「よしっ、帰るぞ!」
「あっ、うん」
少し足を引きづるカイの歩調に合わせて、私は初めてカイと二人で帰った。